豊胸後の「しこり」は珍しくない
脂肪注入豊胸やシリコンインプラント豊胸のあとに、胸にしこりのような硬さを感じることがあります。多くは自然に吸収される脂肪壊死や、カプセル形成など生理的な変化であり、必ずしも危険なものではありません。
しこりと石灰化の違い
- しこり(触知):脂肪壊死、注入部位のしこり、カプセル収縮、血腫などが原因
- 石灰化(画像所見):マンモグラフィーや超音波で白く見える沈着。脂肪壊死や過去の注入部位にできやすい
しこり=悪性ではなく、石灰化も多くは良性です。
受診の目安
次のような場合は、早めの受診がおすすめです。
- 硬くて動かないしこりが急に大きくなった
- 赤み・熱感・痛みを伴う
- 乳頭から分泌物が出る
- インプラントの場合、形が急に変わった、破損が疑われる
検査・対応方法
- 超音波検査:しこりの性状を確認
- MRI:インプラント破損の有無や脂肪壊死の広がりを評価
- 細胞診・針生検:必要な場合のみ実施
- 治療:感染なら抗生剤、壊死が大きければ吸引や切除で改善
▶︎検診の受け方や施設選びの注意点→豊胸手術と乳がん検診の関係|マンモグラフィー・エコーでの注意点
術後経過でよくあるパターン
- 脂肪注入後3〜6か月はしこりが残ることがある
- 石灰化は術後半年〜数年後に出てくることがある
- 多くは経過観察で自然に落ち着く
Q&A
Q:しこりがあったらすぐ病院へ行くべき?
A:急に大きくなった、赤み・痛みがある場合は早めに受診してください。痛みがなく小さいものは経過観察で大丈夫なことも多いです。
Q:マンモグラフィーで石灰化があると言われました。がんですか?
A:石灰化は脂肪壊死や注入部位の変化で起こることが多く、良性であることがほとんどです。形状や分布で必要に応じて精密検査を行います。
Q:しこりが残ったままでも大丈夫?
A:大きさが変わらず、痛みや熱感がなければ問題ないことが多いです。気になる場合は一度画像で確認しましょう。
Q:インプラントが破れていないか心配です。
A:MRIで確認できます。形の変化や左右差が急に出たときは早めに相談してください。
参考文献(リンク付き)
- Losken, A., et al. “Fat necrosis in autologous fat grafting to the breast: Incidence, risk factors, and management.” Plastic and Reconstructive Surgery 139.1 (2017): 11–20.
- Cattelani, L., et al. “Safety of autologous fat grafting in breast cancer patients: A multicenter study.” Plastic and Reconstructive Surgery 138.3 (2016): 340–350.
- Hölmich, L. R., et al. “Prevalence of silicone breast implant rupture among Danish women.” New England Journal of Medicine 344.11 (2001): 781–790.
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